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第23号 2011.4.25 まこと流まちづくりの地平

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                 _/_/ まこと流まちづくりの地平 _/_/
               _/_/_/ 第023号_/_/ 2011/04/25 _/_/

_/_/_/ 明石まちづくり小史 <16>
     ===明石市長選は69票差で「×候補」落選、組織依存の落とし穴===
      「市民マニフェスト」支持した47歳弁護士が当選、新市政へ期待

       統一地方選後半の明石市長・市議ダブル選挙は4月24日投開票され、
      一騎打ちとなった市長選では69票差の5万4062票で元衆院議員の弁
      護士、泉房穂氏(47)が当選した。

       昨年末から「市民マニフェスト」をつくり活動してきた「明日の明石市
      政をつくる会」が公開討論会を経て「市長にふさわしくない×候補」と判
      定し×(バッテン)運動を続けてきた前兵庫県東播磨県民局長の宮野敏明
      氏(59)は、市議会多数派の4会派や市役所、業界団体等に加えて自民、
      民主党の推薦を得て組織選挙を展開し、兵庫県知事がつきっきりで支援し
      てきたが、及ばなかった。

       泉氏は対照的に市民マニフェストにほぼ賛同し、宮野氏が欠席した公開
      討論会でその実現を約束したほか、「市民推薦候補」を名乗り、民主党中
      央からの“押しかけ応援”も断わり、街頭での演説活動に徹して「官×民」
      「組織×市民」の対決選挙を挑み、接戦を制した。

  _/_/ “県政直結の市政”よりも自立した市政を選択

       今回の市長選は、北口市長が市長としての資質や公私混同、政策運営の
      まずさを問われて事実上失脚し3選出馬を断念した後を受けて行われた。
      8年前に大蔵海岸花火事件の責任を取る形で任期途中に退陣した岡田市長
      に続いて2期連続の市長失脚を克服する、市民の側の選択眼が問われた選
      挙でもあった。
       北口市長を問責決議し、3選断念に追い込んだ市議会多数会派と市役所
      の幹部職員らは御しやすい行政マンを担ぎ出し、組織依存の選挙で圧勝を
      狙った。宮野氏は土壇場では前言を翻し政党推薦も要請し「国や県とのパ
      イプの太さ」を強調し、出馬表明後の集会等にしばしば駆けつけていた知
      事は告示後も4回の応援演説に入り、まるで「保護者同伴」の様相でもあっ
      たが、市民はノーを突きつけた。

       明石では56年前、神戸市から仕掛けられ市長や議会多数派が推進した
      神戸・明石の合併に対して、市民が住民投票に持ち込んで合併案を葬った
      経験がある。
      ※当メルマガ9号参照
       http://matsumoto2008.com/a/wiki.cgi?page=mm009

       今回の選挙では自治基本条例を昨年施行したばかりの明石市が、県の天
      下り職員を市長にして県との関係強化という名目のもとに県の意向に左右
      される市政のあり方に、市民がノーを突きつけたと言える。地方分権シス
      テムに移行して12年目。国や県から自立した自治体をめざす自治基本条
      例にもとづいた市政運営を、市民が選択した快挙でもある。

  _/_/ 市民マニフェストめぐり公開討論会を開催、候補予定者を吟味

       2月初め以降メルマガが途切れていたので、ここでこの間の動きを少し
      振り返っておきたい。

       市民マニフェストを掲げた「明日の明石市政をつくる会」は立候補予定
      者の出馬表明が遅れたため、当初計画よりも約1カ月遅れて3月8日、市
      民会館中ホールで公開討論会を開催した。1週間にわたって連日朝夕5時
      間、各駅前での街頭呼びかけを行い1万枚の呼びかけチラシを配布したが、
      宮野氏は再三再四の出席要請にもかかわらず当日姿を見せなかった。討論
      会は出席した泉氏と2時間半にわたって、市民マニフェストに掲げた政策
      について主催者側の討論メンバーと熱い議論が交わされた。

       討論会では参加者のうち、市民マニフェストの集会に参加してきたメン
      バーが用意された各項目についての評価表に○△×の判定結果を記入し、
      これをもとに翌9日夜に「評価判定会議」を開いて、両候補に対する対応
      と独自候補擁立の可否について協議が重ねられた。

       結果は、討論会に欠席した宮野氏には「市民との対話を拒否した姿勢」
      に加えて、市議会の多数派会派や市役所の幹部らに担がれた出馬表明に至
      る経緯が、市民主体の市政運営を定めた自治基本条例に著しく反すること
      などを理由に、市長にふさわしくない「×」評価と決定。他方の泉氏は積
      極的に討論会に応じて精力的に答え、市民マニフェストにほぼ賛同し、そ
      の実現を図ることを約束したことなどから、政策面では「○」評価を付け
      た。

       この結果、市民マニフェストに賛同し実現を図る候補が存在し、他方で
      「市長にふさわしくない」候補が居るかぎり、第3の候補を擁立する“大
      義”はないとして、独自候補の擁立は見送り、市長にふさわしくない候補
      に対する「×(バッテン)運動」を行うことに決まった。同時に、市民マ
      ニフェストの市民への浸透と、選挙後の新しい市政での実現を図る運動を
      続けていく方針を決めた。

      ※詳細は 明日の明石市政をつくる会 HP参照 http://akashi2011.com/

  _/_/ バッテン(×)運動含めた市民参画型選挙への改革を

       しかし、現行の選挙制度では、ふさわしくない候補に×を付けて落とす
      制度はなく、ふさわしくない候補を落とすには「よりふさわしい候補」に
      投票し、当選させるしかない。都市部における首長選挙は単独選挙なら投
      票率は過半数に至らないどころか3分の2が棄権したり、20%台の投票
      率さえ頻繁に生じている。積極的に投票しようという候補者がいない場合
      に、選挙における民意の反映は「たてまえ」に終わり、「地盤・看板・か
      ばん」の組織選挙がまかり通る結果になっている。

       こうした現状を改めるためには、×投票を有効にする方式(マイナス投
      票)や、市民が主権者として選挙運動に参画できるように改革することが
      必要だ。今回の市民マニフェスト選挙は一種の実験でもあり、「政策で選
      ぶ」マニフェスト選挙に変えるとともに、あらゆる機会を通じて候補者が
      市民の前で政策論争をたたかわせる機会をつくっていくことが、メディア
      も含めて要求される。

  _/_/ 問われる選挙のあり方、組織依存型にほころび進む

       今回の統一地方選は東日本大震災ともろにぶつかった。メディアの選挙
      報道も圧倒的に少なく、選挙は市民の関心の片隅に追いやられた。全国の
      自治体と市民が被災者の救援・支援に持てるかぎりの力を投入しなければ
      ならない時期だけに、本来は激甚被災地だけでなく全国すべての選挙を延
      期すべきだったが、予想通り政党も各陣営も選挙運動自粛モードになり、
      現職有利、組織依存型選挙に有利に働いた。

       そんな中での明石市長・市議選だったが、時代の変化も鮮明に描き出し
      た。新聞報道によると、宮野陣営の事務所で開票を見守っていた井戸知事
      は「推薦団体を足してみれば、もっと楽にいくと思っていた。明石のこと
      はよくわからない」とつぶやいたという。3回の知事選で共産を除くオー
      ル与党体制で圧勝した知事には組織選挙は盤石に思えるのだろうが、もは
      やそうした状況は特殊事例になっている。組織依存選挙が行き詰まってい
      る世の中の流れに疎かっただけだろう。

       明石でもこれまで、組織選挙は圧倒的に強みを発揮してきたが、すでに
      政党や労組、業界団体等のしばりはかつてのように神通力を持たなくなっ
      ているのは自明である。今回も兵庫県連レベルで急きょ政党推薦を決めた
      が、現場では公然と対立候補に走った政治家も少なからずいた。300団
      体の推薦状を得たと豪語していても、300の中身はかつてのように団体
      というよりも代表者個人に過ぎなかったり、個人の企業経営者の推薦状が
      圧倒的に多かった。

       一部には、高校の同窓会が“組織決定”したという文書を同窓会の封筒
      (おそらく費用も)で会員に送付したケースもあるが、会費を払っている
      数万に上る同窓会が組織として推薦することは組織運営上無理があること
      も自明である。一部の常識を欠いた、選挙に手慣れていない人たちがフラ
      イングしたに過ぎない。

       選挙のあり方自体が、さまざまに問われた選挙でもあった。

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_/_/_/ 発行: 市民まちづくり研究所 / 松本誠 MATSUMOTO,Makoto
       http://matsumoto2008.com
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最終更新時間:2012年09月19日 21時30分40秒