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第18号 2010.10.27 まこと流まちづくりの地平

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                   _/_/ まこと流まちづくりの地平 _/_/
                 _/_/_/ 第018号_/_/ 2010/10/27 _/_/

 明石の松本誠です。
 「まこと流まちづくりの地平」は今年元旦に一年間のご無沙汰をお詫びして再
開したものの、5回お送りしただけで3カ月で再び休載してしまいました。申し
訳ありません。

 この間、この国の政治も経済も社会も目まぐるしく変化をし、歴史的転換期の
佳境に入りつつあります。足元の明石でも過渡期を象徴するような数々の事態が
進行しており、このまちのまちづくりと市政の将来に注目してきた私たち“まち
づくり人”たちも、さまざまな対応を迫られています。

 このような中で、あらためて半年ぶりにメールマガジンを再開させていただき
ます。気長にお付き合いください。


_/_/_/ 明石淡路フェリー運航休止に見る2つの“無策”
       総合交通政策欠く政治と、総合的なまちづくり施策欠く市政

         明石海峡大橋が開通してから、航路の継続が常に危ぶまれてきた明石
        ―淡路間のフェリー航路が、11月16日以降、運航を休止することが
        10月15日発表された。明石市と淡路3市も出資した第三セクターの
        運航会社「明石淡路フェリー」が臨時総会を開き決定したもので、従業
        員は全員解雇し、就航している最後の船舶1隻も売却するという。大橋
        開通後も、愛称「たこフェリー」として航路維持に七転八倒してきたが、
        刀折れ矢尽きた格好でギブアップに追い込まれた。

         明石市は「航路再開に向けた歩みの途中だ」(北口寛人市長)と強調
        しているが、船も人もいなくなった中での航路再開への展望は聞かれな
        い。

         明石海峡のフェリー航路は、1954年4月(昭和29年)本格的な
        モータリゼーションの始まりを前に県営明石フェリーとして開通した。
        2年後には日本道路公団の発足によって公団に引き継がれ、文字通り
        「国道フェリー」として国道28号線の一部と位置づけられ、本州から
        淡路を経て四国を結ぶ大動脈になった。

         交通の要衝でもあった明石は、山陽鉄道神戸―明石間(その後国鉄、
    現在のJR線)が開通したのと同じ1888年(明治21年)に、明石
    港から淡路島北端の岩屋間に定期連絡船が就航した。その後、淡路島の
    東西海岸沿いに南下する航路も開設され、明石は関西から淡路、四国へ
    の玄関口になった。

         明石―岩屋間の旅客航路はピーク時で年間481万人(1985年)にの
        ぼり、1日1万人を超す利用者があった。フェリーは、明石海峡大橋の
    起工式が行われた1986年“官営航路”に終止符を打ち民営化された
    が、その当時で4隻のフェリーが1日38往復し、200人の従業員で
    年間26億円の料金収入を挙げて、単年度収支は黒字だった。

      _/_/ 大橋開通で廃業の危機

         明石フェリーの民営移行から12年、1998年春の明石海峡大橋開
        通で航路環境は激変する。神戸・阪神間、大阪、和歌山方面と淡路島や
        徳島を結ぶ海上航路はほとんどが姿を消し、かろうじて明石海峡航路が
        残ったが、フェリーも旅客航路も従業員を極端に減らすなど合理化に次
        ぐ合理化を重ねても、常に廃業の危機にさらされた。

         大橋が開通した翌年秋には、架橋に伴う特別措置の助成金が切れる2
        000年4月までにフェリー航路を廃止することを当時の「明岩海峡フ
    ェリー」が表明。あわてた明石市と淡路島の自治体が第三セクターによ
    る航路存続を打ち出し、大橋開通と同時に廃止した甲子園高速フェリー
    会社を中核として、当時の淡路1市10町と明石市が出資した「明石淡
    路フェリー」を設立し、2000年7月から事業を引き継いだ。当時の
    1日36往復の便を継続、59人に減っていた従業員も継続した。

         しかし、大橋の方は予想通り利用台数が増えないため、公団が200
        3年に通行料金を約1割値下げし、その後もETC割引や休日1000
        円料金を実施するなどのたびにフェリーの料金値下げで対抗したが、利
        用者は激減しお手上げ状態になった。

      _/_/ 道路優先の「構造的欠陥交通政策」の犠牲

         明石海峡大橋は国策として建設され、巨額の公的資金を投じて巨額の
        負債を塩漬けにしたまま、経常費用も巨額の公的資金(税金)の補てん
        によって維持されている。料金値下げも民主党政権が標榜する「高速道
        路無料化」政策も、巨額の税金によって道路の利用者の負担を軽減ある
        いはゼロにする政策である。

         海上交通を担う航路は、民間事業として公的資金の支援のないまま独
        立採算で続けねばならないために、構造的にも大橋との「市場競争」は
        成り立たない。海上交通の維持を視野に入れないままの道路優先交通政
        策が、明石―淡路間のフェリー航路の息の根を止めたといえる。

         では、大橋と競合する海上交通はなくてもいいのだろうか? 答えは
        「ノー」である。阪神・淡路大震災の際に、鉄道や道路が寸断された中
        で、海上交通が大きく見直された。明石、神戸、加古川、姫路などから
        大阪方面への足として臨時の海上交通が開設され、大きな役割を果たし
        た。淡路を経由する海上交通網も機能を発揮した。

         その経験から、自動車交通の偏重を改め、海上交通や鉄道輸送への転
        換を進める「モーダルシフト」が提唱された。明石海峡大橋が開通して
        も、非常時の危機管理対策として橋1本に頼らず、海上交通を維持して
        いくことの重要性が指摘されたのは、つい15年前のことだ。大阪湾沿
        岸と淡路島を結ぶ航路が壊滅状態になった中では、唯一残った明石海峡
        航路は大阪湾のセキュリティシステムとしても重要な課題である。明石
        海峡大橋のセキュリティシステムとして、いま一度、道路公団がフェリ
    ー航路を大橋と一体システムとして維持していく制度構築が不可欠では
    ないか。

      _/_/ 小手先の航路支援策から、総合的なまちづくりの枠組み構築へ

         明石航路の維持が困難になってからも、明石市は航路維持に対しては
        「小手先の支援策」に終始してきた。フェリーをクルーズ船として季節
        的な観光利用を呼びかけて助成金を出すなどの、カンフル剤的イベント
        支援などでお茶を濁してきたといえる。航路維持への構造的な欠陥に対
        応したり、明石のまちにとっての港や航路の位置づけを明確にし、本質
        的な「海峡のまち」づくりの一環としての航路維持の絵(ビジョン)を
        描く作業をしてこなかった。

         東西16繊¬誓亞ざと播磨灘にへばりついた明石のまちは、海辺の
        価値を高めて、海辺とまちをつなげるまちづくりを最大の課題にするこ
        とが何よりも重要である。「海峡公園都市」や「海峡交流都市」のキャ
    ッチフレーズを掲げ、明石駅から明石港に至る駅前通りと銀座通りを
    「明石公園と港を結ぶシンボルロード」を名付けているのも、港があり、
    航路が存在するからである。明石航路がなくなれば、明石のまちづくり
    のコンセプトは根底から揺らいでくる。

         こうした認識が、抽象的なキャッチフレーズにとどまらず、具体的な
        計画の中に位置づけられていれば、明石航路維持への対応は何よりも優
        先し、明石港のど真ん中に鎮座する砂利揚げ場の移転と跡地活用につい
        ても本腰入れて取り組むはずである。だが、いずれも長年放置されて、
        航路存続の危機が表面化してからも、いったんは取り組むかに見えた砂
        利揚げ場移転問題もまた先送りされたままだ。

         明石航路の存続問題が構造的で厄介な問題であればあるほど、市政の
        最重要課題として周辺整備や港を活かしたまちづくり計画の策定に本腰
        いれて取り組まねば、小手先の対応では問題解決につながらない。その
        意味では、JRの営業主義もちらつく新駅計画などにうつつを抜かして
        いる余裕などはなかったはずであった。


      _/_/ 明石のまちづくりの危機、市民も真正面から取り組もう

         明石は豊かなまちづくり資源に恵まれた都市である。日本国中のまち
        が、まちづくりの資源(ソース)探しに四苦八苦している時代に、有り
        余るまちづくり資源が逆に、市民にも行政にも油断と怠慢の意識を生み
        出してきた。

         ここ30年、緩慢なる「まちづくり資源つぶし」がこの町で進行し、
        ついに、半世紀余りにわたってこのまちを支えてきた港と航路が危機に
        瀕している。国の「欠陥交通政策」をただし、航路が成り立つ政策を求
        めていくとともに、このまちにとっての港と航路の価値を見つめ直すと
        きである。

         いま、明石のまちにとって最も優先して対応しなければならないのは
        何か。限りある財政の力を、どこに、どのように注ぐべきなのか。山積
        するまちづくりと行政課題を、いま一度総合的に見直して、総合的に解
        決する知恵と力を生み出す時であろう。そのためのリーダーシップを発
        揮できる人材を、掘り起こすことも重要ではないか?


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_/_/_/ まちづくり異聞(イベント案内、その他)

    _/_/AACPN オール明石市民活動ネットワーク準備会(第1回)
    
    _/11月2日(火)18:00〜21:00
     明石市民会館第4会議室

    _/自治会などの地縁系と分野型市民活動系等、明石市内の市民活動団体の
     大きなネットワークを形成し、今春施行された「自治基本条例」にもと
     づく「参画と協働」のまちづくりや市政をすすめていくため、市民側の
     連携組織づくりをめざす。


  _/_/明石まちづくり市民塾2010連続講座
        「市民活動・市民利用施設のあり方を考える」

        第2回 教育・文化芸術活動の場はどうあるべきか? 

        _/ 2010年11月21日(日)13:30〜16:30
           明石市男女共同参画センター(明石駅前アスピア北館7階)

        _/ 資料代:300円

        _/ 市民会館、西部文化会館、生涯学習センター等、多彩な市民活動の
          場を提供し、独自の企画事業もおこなっている施設の現状と課題、
           利用者市民との関わりを考える。

        <パネリスト>
        市民会館館長・須浪秀樹さん(指定管理者)
        生涯学習センター所長・河野実さん
        明石市文化団体連合会会長・竹内隆さん(サークル活動、文化活動団体
        の利用者の立場)
        明石市文化芸術部次長兼文化施設担当課長・藤林広重さん
        神戸大学大学院国際文化学研究科地域連携研究員、神戸学院大学講師・
        竹内利江さん

        <コーディネーター> 松本誠(市民まちづくり研究所所長)


    _/_/明石まちづくり市民塾 特別講座「五感で味わう明石の自然」
         明石の里山探訪 第2弾 大久保町の松陰新田一帯の里山

       _/  2010年11月28日(日)午前10時〜午後3時
           集合: 10時30分に明石北高校前
           参加費:  1000円
      _/ プログラム
         ‐庄⊃慧弔領せ海亮然環境と町並み探訪
         ∋矯と炊き出しで昼食(芋煮、目張り寿司、味噌汁)会食、懇親
         お話/「松陰新田の自然環境と里山の将来」(講師折衝中)

       _/ 参加申し込み期限 11月15日(月) 定員30人で締め切り
          申し込み先:明石まちづくり市民塾 事務局
                  e-mail shimin-juk@jichi-akashi.com
                (このメルマガへの返信でも受け付けます)

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_/_/_/ 発行: 市民まちづくり研究所 / 松本誠 MATSUMOTO,Makoto
        http://matsumoto2008.com
        e-mail:makoto@matsumoto2008.com
        e-mail:matsumoto-mk@nifty.com
        ※ご意見・ご感想をお寄せください。
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        ※転送・引用・その他の活用を歓迎します。
         活用に際しては発行者の著作であることがわかるようにしてください
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最終更新時間:2010年12月12日 12時11分25秒