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明石駅前南地区再開発についての意見書 その3


明石駅前南地区再開発事業についての意見書 その3

 再開発事業については7月に2回にわたって意見書を提出したが、泉市長の「現行計画見直し」の方針を踏まえた今回の第2次意見募集に応えて、以下の通り意見書を提出します。
 本意見書は、7月25日のフォーラムや以降の市長懇談会等でさまざまな意見を聴いたこと、さらには8月24日の市議会建設企業常任委員会での審議を傍聴し、本件再開発事業計画の見直しにあたって論点になっていることについての意見を整理・検証し、間違いのない見直し作業が行われるよう提言するものです。

1.「再開発計画は長年にわたって積み上げられてきた計画」とは、本当か?

 2000年3月に策定された「旧・中心市街地活性化基本計画」は東仲ノ町再開発(アスピア)関連が中心で、中心市街地全体の施策の位置づけは弱く、駅南地区の再開発は影も形もない。

 2001/3に策定した第4次長期総合計画でも上記と同様に駅南地区の整備計画は全くない。

 2005/8にダイエー明石店が閉店して、その後は跡地利用が焦点になっていたが、駅南地区の全体的な再開発への動きはその後も見られない。

 ダイエー東館の土地所有者がマンション開発業者?に売却したころ(北口市長の再選選挙が行われた2007/4前後)から、個別ビルや土地への対応だけではなく、面的整備の必要性が議論になる。

 2006年にまちづくり3法が改正されて、中心市街地活性化法が改正になったころから、この枠組みで対応する方向へ市が動き始める。

 2008/4に市に「中心市街地活性化プロジェクト」が発足し、村松克行部長(翌年4月に副市長)山本浩造次長(現担当部長)嶋田邦男課長(現部長)の体制でゼロからのスタートを図る。

 中心市街地活性化基本計画策定への具体的な動きは、2008/8/11に庁内組織として基本計画策定委員会がスタートしてから。その後、市民や商業者の意識調査(2008/10)や、商工会議所や明石地域振興開発蝓瓮▲好團管理会社、三セク=が中心になった中心市街地活性化協議会(2008/9〜2010/3意見書提出)商業活性化分科会(2009/2〜2010/6)、都市基盤分科会(2009/8〜同10)等を経て、2009/10に基本計画の骨子案、同12月に計画素案をまとめ2010/1に素案を確定した。直後にパブコメを実施(2/15-3/1、提出意見は6件)、パブコメ実施後の2010/4に協議会が意見書を市長に提出した。この間、わずか1年半程度の作業で、基本計画が国に提出され、2010/11認定された。(計画期間2010/11〜2016/3)

 中心市街地活性化基本計画は、明石港まで含めた60haの区域に及ぶもので、百数十ページにおよぶ「中心市街地活性化基本計画」はその全体を対象とした基本的な計画が認定された段階である。
 いま問題になっている「駅南地区の再開発計画」は、基本計画の一部を占めるもので、ダイエー跡地を含む再開発事業対象区域8600屬函駅前広場の再整備や国道2号の一部を含めた計2万2000屐2.2ha)を対象としたものである。この再開発事業は、都市の土地高度利用を図る都市再開発法にもとづく第一種市街地再開発事業として、権利者による再開発組合を設立し民間事業として施行する予定である。肝心の事業者である再開発組合はまだ準備組合の段階であり、施設構想もまだイメージ構想の段階に過ぎず、事業着手が遅れるとあたかも国や県の補助金が減ってしまうような議論になっているのは、事業の制度や手続きをしらない議論にすぎない。
 再開発事業の計画は、まだ固まっていないのである。

2.中心市街地活性化と駅南地区再開発事業の混同

 上記┐膿┐譴燭茲Δ法中心市街地の活性化とダイエー跡地対策から派生した駅南地区の再開発事業は別のものであるが、7/25のフォーラムでの発言や8/24の市議会常任委員会での発言、パブコメで寄せられた膨大な意見の中には、これらを混同した意見が少なくない。

 例えば、泉市長が選挙中に掲げた政策の中で「中心市街地の活性化には大胆に取り組んでいく」という主張は、文字通り「中心市街地全体の取り組み」に関わる公約である。このことは8/24の委員会でも繰り返し答弁している。
 これに対して「駅南地区の再開発計画」については、計画内容と巨額の税負担、これまでの手続きや市民周知などの透明性の3つに問題があり、市民の意見を幅広く聴いて見直す―としてきた。中心市街地全体の活性化は長い時間を必要とするものであり、駅南地区に巨額の税金を投じて巨大なビルを造ったからといって、国道以南の商店街や中心市街地の活性化につながるとは限らない。このことも市長は繰り返し強調しており、現行の再開発ビルができれば中心市街地の活性化につながるというなら、多方面から指摘されている問題点に一つひとつ答えて、間違いなく活性化につながる、投資効果が上がることを立証すべきであろう。
 オープン後10年、経営の低迷にあえいでいるアスピア明石が、中心市街地や南部の商店街にどのように寄与したのかを、逐一説明すべきである。

 中心市街地活性化のポイントは、明石らしさの象徴でもある「明石海峡に面した明石港一帯の整備」と海辺とそれにつながる中心市街地の中心部にどう結びつけるかが、最重要課題であろう。明石港周辺は公共区域だから、砂利揚げ場の問題も含めてこの一帯の整備は公共事業、すなわち税負担による整備が中心になるが、これすら今日では民間活力を利用して、市民の手による効果的な整備を考える時代になっている。市役所庁舎問題は、その関連で検討すべきものである。

 これに対して、「民間再開発事業」というものの、実体的には民間主導を端から放棄し、市役所庁舎機能の一部移転も含めて行政丸抱えの事業を行うのは本末転倒といえる。民間主導で成り立たないような再開発事業は、事業の手法自体から再検討するべきものだろう。市議会委員会で市長が答弁していた「事業の枠組みの仕切り直しもあり得る」ことは、上記の経緯からみれば当然のことである。

3.パブコメの多数意見と市長の「見直し」方針は矛盾するか?

 8/24の市議会委員会では、多くの議員がパブコメ(7月の市民意見聴取)で示された「3択」の集計で「現状の計画のまま推進」が最多の612件と3択回答の52%を占めたことや、「計画を一部変更して推進」279件(24%)と合わせて7割強を占めたことと、市長の「現行計画見直し」発表が整合しないことを取り上げた。ちなみに「計画を推進しない」は276件(24%)あり、「一部変更して推進」を含めると「見直し」意見は半数になる。
 これに対して泉市長は「パブコメは単純な多数決を図るものではない。(3択の)数よりも一人ひとりの意見の中身を大事にしたい」と繰り返し答弁した。

 率直に言って、7月1日に市政だよりの折り込み4ページの再開発計画特集でこの「3択」アンケートを見た際には首を傾げた。案の定、地元紙の神戸新聞は大きく取り上げて「"住民投票"で意見公募」と報道した。
 そもそも、人口29万人を超える明石市で、アンケート応募者の公正さを確認できない方法で、量的にも1200件足らずの応募数の内の多寡でもって、「過半数の多数意思が現行計画推進賛成」という分析や評価が成り立つかどうかは、難しい統計学的な話を持ち出すまでもなく、説得力に乏しいというしかない。人口の0.4%程度、有権者数約23万人の0.5%程度の意思表示に過ぎない集計結果の多寡で判断すること自体が間違っている。神戸新聞はその後ご丁寧に「"民意"に反する判断に懸念」と市長の見直し発表に解説を加えていた(8月11日)。いくら「" "」付きだとはいえ、上記のような数値を「民意」と表現する感覚自体が非常識といえる。
 議会委員会の審議でも、多くの議員の発言がこの延長線上におぶさったものだった。市政の重要な課題や政策について、市民の投票による「民意」を聴くことは大切な視点であり、昨年4月に施行した自治基本条例でも住民投票を明確に位置づけている。民意を得ようとするなら、常設型住民投票条例の制定は遅れているが、この問題についての個別住民投票条例を制定し、基本条例にもとづいて選挙管理委員会の管理のもとできちんとした住民投票を行うべきだろう。

 ついでながら、この「3択」アンケートは、アンケート設計上からもよろしくない。明石駅前南地区の再開発の目的が中心市街地の活性化に寄与することにあるはずだから、選択肢は「現行計画の推進」や「計画の一部変更」だけでなく、「事業手法も含めた大幅な計画変更」があるはずである。しかし、現行計画に異議ある人は「計画を推進しない」という選択肢しかなく、これは「現状のまま(何もせず)放置する」ということでいいのかという抵抗感が残り、選択が誘導的に行われがちである。
 そうしたアンケート設計の欠陥も考慮すれば、市長が繰り返し答弁したようにアンケートは「単純な多数決を見るためのものではない」と、一人ひとりが記述した意見の中身を重視するのが適切なのは論をまたない。130ページを超える1093件の意見を読むと、必ずしも集計結果と重ならない市民の見方が浮かんでくる。議員は根気よく、千件を超える意見に目を通すべきであろう。

4.「市の財政は地域住民に関係がない」という議員の発言について

 8/24の市議会委員会では、表記のような驚くべき発言が最大会派の新人議員の口から出た。小学校区単位で行っている「市長懇談会」で、市がまず厳しい財政状況を説明し、その後に再開発事業の計画を説明して、住民から意見を求めているのが、第一部の概ねのパターンだ。第二部では、地元の住民団体等から地域の現状と課題について説明し、住民の意見交換に入る。
 議員発言は「校区の懇談会では地域課題を中心にすべきなのに、厳しい財政状況を説明してから財政負担の大きい再開発について意見を聴くのは、誘導的なやり方ではないか」というものである。本当に「市の財政状況は地域住民には関係がない」という認識に立っているとしたら、さっさと議員を辞めた方がいい。自治基本条例を制定し、住民が市政に参画し、協働していこうと市を挙げて取り組もうという中で「明石市の憲法」への認識欠如と市民を軽視するのも甚だしい。

 泉市長が繰り返し強調したように、この再開発計画を見直す理由は、

    1. 市役所機能の移転も含めた計画の内容に多くの意見がある
    2. 財政負担(市民負担)が大きい
    3. 手続きや事業の透明性について多様な意見がある―ことである。

 形式的には民間事業でも、実質的にはアスピア再開発と同じく税金依存の公共事業になっているからである。ただでさえ厳しい財政事情の中で、後世に大きな悔いを残しかねないという懸念があるからである。市民はいま、何よりも市の財政事情を市役所や議員まかせにせず、市民自らの問題として認識することが迫られているはずである。

5.再開発事業の市財政への影響(市民負担)について

 昨年12月までに市議会等に説明している再開発事業の資金計画によると、現計画では再開発事業費は255億円。このうち半分を超す130億円が一般会計補助金、すなわち税金である。国県市の負担はそれぞれ国65億円、県23億円、市42億円を見込んでいる。これ以外に道路や公共空間に対する「公共施設管理者負担金」が25億円(国13億円、市12億円)予定しており、事業費のうち税負担は全体の61%を占める。ちなみに、本来の再開発事業の収入の過半を占める保留床の処分金は約200戸のマンション分譲(住宅開発デベロッパー)33億円と市の保留床買い取り金67億円の計100億円を見込んでいる。

 この資金計画の構成では、事業費の87%は国県市の補助金と公共施設管理者負担金、および市の保留床の買い取り費が占める。すなわち、権利者による再開発事業という「民間事業」は形ばかりで、実質的には大半が税金で行う公共事業であることが明白である。

 この構図は、10年前の2001年オープンした明石市で最初の市街地再開発事業だった「アスピア明石」とほとんど同じである。民間への保留床分譲計画はことごとく失敗し、市の生涯学習センター等の公共施設と市の第三セクターで買い取った駐車場が一般会計や市の借金でまかなわれ、商業施設部分も第三セクターの明石地域振興開発蠅買い取って賃貸事業でオープンにこぎつけた。
 市はアスピア建設の初期投資だけでなく、アスピア明石の経常赤字を補うために毎年1億数千万円の運営費補助を支出してきたほか、昨年3月期決算ではアスピア明石の資本金減資(約72億3140万円を1億円に減資)によって58%を出資していた明石市の出資金は"紙くず"同然になっている。

 議会内部にも過大な財政負担を懸念する意見もあり、保留床の民間への処分を求める意見もでているが、民間への売却の道が確保されないから、苦肉の策として市議会の意思決定もしていない「市役所機能の移転」を庁内検討に先だって早々と盛り込んできた経緯を直視すべきであろう。

6.「事業が遅れると損をする」「見直しにはリスクが大きい」というのは本当か?

 議会の議論で多かったのは、見直しで作業が遅れると国や県の補助金が減ったり、契約したデベロッパーへの"違約金"支払い等のリスクが大きい―という意見だった。市側は「年内に決定しなければ国や県の補助金が減る」とし、時間的制約が厳しいと説明している。

 市によると、前記の資金計画は認定中心市街地活性化基本計画による補助金の割増制度の適用を前提としており、そのためには認定後5年以内の2016年3月までに事業を完成させる必要があるとしている。その前提に立って市は2010年12月に大林組を特定業務代行者に指定し(契約者は再開発準備組合)、事業に必要な資金調達から調査設計、工事施工、再開発組合の事務局業務などを委ねる事実上のデベロッパーとして契約した。今年3月には明石駅前南地区第一種市街地再開発事業の都市計画決定を行い、この夏には本組合の設立をめざし、2012年度予算には補助金や保留床取得の予算を計上する予定になっていた。

 そこへ泉市長の就任に伴い、計画の見直しが浮上してきたことから、事業着手が遅れたり、計画の大幅な仕切り直しになると上記の割増補助金が消えてしまいかねないという指摘である。24日の議会委員会で市はそのリスクを国の補助金で約15億円、県の補助金で約1億円が「なくなるかもしれない」とした。

 しかし、議員側の指摘も市の言い分も、市街地再開発という巨額の公的資金を投じる事業についての認識が実態と極めてかけ離れているのではないか。明石市での市街地再開発事業はアスピア開発が第1号。ほかには本町地区で都市計画決定したまま放置されている事例があるだけで、他には経験がない。アスピアの事業は、1972年に基本構想が策定されてから2001年の完成まで29年かかっている。竹中工務店とデベロッパー契約をしてからでも18年かかっており、再開発組合(本組合)が設立されてからでも完成まで10年を経ている。
 アスピアに限らず、全国の再開発事業で、この段階から計画通りに進んだ事例は皆無に等しく、アスピアも事業期間の変更に次ぐ変更を重ねてきた。いわば、再開発事業は計画通り行かないのが常識であり、資金計画もその流れの中で検討されていくものである。
 市が強調する「時間的制約」は以上の事実を考えれば、計画通り事業を進めるための"テコ"に使われているだけであり、計画通り進めるとしても事業期間の変更等の手続きで必ずしも資金計画が崩れるというわけではない。

 そうしたことよりも、このような資金計画が国や県の方で、計画通りに担保されるかどうかも不透明である。3.11東日本大震災以降は、それまでの財政事情が一変し、あらゆる事業計画が見直しの対象になっている。不要不急の最たる事業でもある本件再開発事業は、優先的に予算措置されるという保障はなく、むしろ市が率先してその国費を被災地復興に振り向けるように態度を改めることこそが求められているのではないか?

7.市役所庁舎の建て替えや一部機能を再開発ビルへ移す問題は、どこで決定したのか?

 現行再開発計画の"核テナント"は、高層の住宅棟を除けば、市役所である。「モデルプラン」として提示している保留床のうち、市役所が買い取る公共公益施設は地下の駐車場のほか、2階のイベント広場(約1000屐亡儻案内所施設(約200屐法■崖のこども一時預かり施設(約500屐砲硲粥腺恭までの市役所窓口機能施設(約9300屐砲旅膩很鵤泳1000屬箸気譴討い襦市役所窓口機能施設の9300屬蓮現在の市役所本庁舎の面積約3万屬量1/3を占めるという。窓口サービス機能だけなら、現在の明石駅サービスコーナー程度でも十分こと足りるといわれているが、要は市役所本庁舎の1/3に及ぶ執務スペースと当該部門を駅前再開発ビルに移すという計画である。

 市役所の移転や建て替えは、市政の最重要課題の一つであり、市議会の議論や市民意見の聴取も含めて慎重な検討・審議が求められるものである。財政事情が厳しい今日では、住民投票にかけられる事例も出ているほどのものだ。
 ところが、明石市の市役所本庁舎の機能再配置や建て替えに関わる議論は、昨年2010年11月に「庁舎における行政サービスのあり方検討懇話会」を設けて、一部学識経験者や地域住民代表も入れて審議を始めたのが最初である。しかも驚いたことに、この懇話会は2回目の12月には早くも提言書の素案が提示され、年が明けた2月4日には3回目で最終の会議を開き、提言報告書まとめている。その中では、本庁舎の耐震性能や"耐久期限"が来ていることを理由に、本庁舎の建て替えも提言している。

 再開発計画を具体的事業の一つに挙げた中心市街地活性化基本計画はすでに見たように、2010年3月には策定し、11月には国の認定を受けている。この中には、上記の市役所機能の大幅な移転が盛り込まれている。市役所機能の分割移転や再開発ビルへの入居は、明石市政のどこで、いつ、どのように決定されたのであろうか? 議会も市民も承知しないうちに、「民間事業」であるはずの再開発計画の中に市役所が勝手に書きこんでしまった。明らかに、手続き的にも"違法"の疑いがあり、透明性を欠いた進め方といわざるを得ない。
 泉市長が見直し理由の中で、しきりに強調している「手続きや進め方の透明性を欠く」ということは、このことも大きな問題として指摘しているのではないかと推測できる。
 議会は、市長の「見直し発表」に議会軽視と憤る前に、この市庁舎問題こそ一段とオクターブを挙げて詰問すべきことではないか。

8.「議会軽視」発言と市長の対応

 自治体の首長がリーダーシップを発揮したり、市民参画の行政運営を高めれば高めるほど、議会  側から「議会軽視」発言が出がちである。今回も24日の委員会審議で、多くの議員が口にした。一つは、6月定例市議会の中では7月1日から実施した市民への大々的な意見聴取(パブコメ)を行うことを説明せずに、いきなり発表したという主張。もう一つは、8月24日に建設企業常任委員会が予定されている中で、事前に説明のないまま「一方的に計画の見直し」を発表したということである。

 泉市長は「時間的制約が厳しく、早く市民の意見を聴く手続きを取る必要があったので、こちらを優先した。議会を軽視したわけではなく、市民意見の聴取を優先した結果だ」との釈明に終始した。7月初めからのパブコメ実施も、8月15日の見直し発表も、直前にでも一言議会筋に情報提供すればすむことを怠ったことは不手際に違いないが、そもそも市民への計画の周知や意見聴取も、その結果の発表や見直し作業を進める表明も、行政の長である市長の責任で行うものである。明石市では従来、いちいち議会の顔を伺いながらの"根回し行政"が長い習慣になっていたから、本来の行政姿勢を取ったことの落差が議員には大きく受け止められたのだろう。

 これを機会に、市長も議会もそれぞれの役割や機能を突き詰める議論を行い、自治基本条例にもとづく「参画と協働」「情報共有」の市政をどのように実現していくかを、市民の前にも明らかにすべきであろう。

9.第二次意見聴取で「ハコもの」ニーズを聴取するスタンスはどこにあるのか?

 24日の市議会委員会では、一部の議員が駅前再開発地域に欲しい公共施設について触れていたが、   この問題についてはあまり議論がされなかった。8月15日にあらためて市が市民意見聴取を始めた「第2次パブコメ」である。7月の第一次意見聴取で「駅前に望まれる公共施設の内容についての意見が多かった」ことから「計画の見直しについての自由な意見」とともに、「設置が望まれる公共施設」について図書館や子育て支援施設など5つの具体的な施設名を挙げて○印をつけるように求めている。

 しかし、市はどのような意図からこのようなアンケートや施設ニーズ調査をしようとしているのか、極めて不可解である。市役所の窓口機能施設に代わる市民ニーズの高い施設を再開発ビルに入れようというのかもしれないが、いかに市民ニーズが高いといっても、兵庫県内でも有数の駅前一等地に公共施設を建設するほど、この市は財政的に余裕があるのだろうか? 決してそうではあるまい。明石市に限らず、今日の自治体財政事情を考えると、不要不急の公共施設(ハコもの)はできるだけ抑制し、財政コストの低減を最優先することが最重要課題ではなかったか?
 そのような観点からすれば、駅前一等地に欲しい公共施設のニーズ調査をするのは、時代錯誤も甚だしいといえる。一方で財政の厳しさを訴えながら、他方では「駅前再開発事業を成立させるためには、何としても市民の納得できる公共施設を造りたい」という"本末転倒"の発想が垣間見える。

 公共施設を核テナントにしなければ成り立たないような再開発事業は、計画自体に無理があるものと観念し、駅前地区の整備手法を根底から改めるべきなのである。

10.では、明石駅前南地区はどうするべきなのか?

 では、明石駅前南地区の整備はどうするべきなのだろうか? 筆者も決して「現状のまま放置し ておく」ことは、中心市街地の活性化に大きな支障があると考えている。中心市街地の活性化は市の担当プロジェクトチームも当初考えていたように、駅前地区だけを整備しても中心市街地の活性化につながらない。一部商業者が主張していたように、駅前地区に巨大な再開発ビルを建てても、南部の商店街が息を吹き返すことにはつながらないのは、多くの人々が指摘するように明らかである。

 中心市街地の活性化は、駅前地区とともに南のランドマークである明石港地区、海岸ゾーンの整備を並行するとともに、国道以南の商業ゾーンの活性化策を積み重ねていくことが不可欠である。

 基本は泉市長の主張しているように、「明石らしさ」を中心市街地全体によみがえらせる発想と仕掛けである。ここでいう「明石らしさ」とは何か? 一つは、淡路島のたたずまいを含む明石海峡の景観を生かすまちづくり。二つ目は、北のランドマークである明石公園、明石城、さらには人丸山・天文科学館につながる「時の道」と一体となれるまちづくり。三つ目は、海辺を生かしたレクリエーションゾーンや、魚の棚一帯を買いものだけでなく「食べる」「遊ぶ」「学ぶ」ことのできる広義の「魚のまち」に育てていく「うみぎょう海業のまちづくり」。
 これらの特徴を生かすには、大都市型の巨大再開発ビルで周辺の街並みとの整合性を崩すのではなく、「海峡や淡路島、緑と明石城のスカイラインを生かした平面のまちづくり」を基本にすべきである。いま、明石公園の本丸や明石駅の高架ホームから眺める明石の街の景観は、上記の要素をことごとく破壊している。アスピアの再開発ビルも、まち壊しの役割を果たしている。

 ここでは、明石駅前南地区の「当面の整備方針」だけを述べておきたい。
 一つは、今日の経済状況、財政状況からリスクの大きい大規模開発は見送り、「修景、修復的まち並み整備」を検討する一方、当面は暫定的に更地や現在の「路地裏的界隈」の賑わいを盛り上げるような補助的事業にとどめる。東仲ノ町再開発地区に指定されたまま放置されている駅前通りに近い「C地区」は、一歩裏通りの迷路のような路地裏に近年次々に飲食店や飲み屋が老朽家屋を改造して開店し、ちょっとした賑わいを見せている。
 明石駅前一帯は、本来は駅前の立地条件を生かしてこうした「路地裏的賑わい」の街を売り出すことによって、阪神・淡路大震災後に神戸・阪神間から姿を消した庶民的まち並みの賑わいのメッカになり得る。駅前や魚の棚一帯に、数十軒の「明石焼き横丁」が生まれたり、屋台営業に近い「寿司屋横丁」が数十軒を連ねることができたら、それだけでも明石にどっとファンが押し寄せ、庶民的な賑わいの街に変貌するかもしれない。
 このため、二つ目には、旧ダイエー東館など使えないビル、使いようのないビルは解体し、当面は新しいビルを建てない。補強や補修で使える建物は、ローコスト資産として活用する。平面駐車場は地域外に移転し、跡地は仮設型の平面仮店舗としてコストの安い出店希望者に提供する。空き家、空き店舗への積極的な事業者誘致のソフト面での行政支援に力を入れることが肝要である。国道以南の魚の棚方面への通路は、駅前通り交差点と明淡筋交差点と連動した地上の横断歩道で結ぶ方が、地形的にも優れている。

11.駅前広場の改造計画についての若干の提案

 中心市街地活性化計画の具体的事業の筆頭に掲げながら、具体的案が提示されていない駅前広場の再整備(改造)についても付言しておきたい。

 具体の改造案については公表された文書が全く存在しないが、幾つかの場で口頭による具体案らしい一部が触れられている。
 一つは、広場南端の再開発ビル建設予定地沿いにある東西の車道を廃止し、広場にはバスとタクシーしか乗り入れできないようにする案である。歩行者動線から車を排除しようという考え方なのだろうが、机上の案に過ぎず勘違いが大きい。
明石駅には一般車が乗りつけられるゾーンがなく、「キッス&ライド」の送迎車両は周辺の路上駐車(停車)でバス乗降場や通過交通と錯綜している。せめて西明石駅の一般車乗降場のようなゾーンを設けるべきである。同時に障害者や高齢者等、コンコースに近いところまで送迎が必要なケースもある。現在の東西車道は沿道の事業者にも不可欠なものであり、駅前広場で選挙時等の集会をする際にも乗り入れが不可欠である。歩・車道の分離は車道の通行制限を徹底的に歩行者優先に措置するだけでも可能である。柔軟な発想が求められる。
 二つ目は、JR側の商業主義にもとづく駅前空間利用の再整備である。明石駅のような規模の駅に改札直結の一般駐車場を造るのは不適当である。駅北側の駐輪場1階にあるステーションセンター管理の一般駐車場は、一般車の乗降場に開放すべきである。本来、駅設置者にはその程度の負担を求めるのは当然である。長期的にはできれば、駅前広場建設時の交渉対象であった旧変電所跡(現在のスーパー「パントリー」)を、少なくとも1階平面スペースは駅前広場空間として開放するよう、JR側と交渉すべきである。

以上

2011年8月31日
明石市長 泉 房穂 様
明石市中心市街地活性化プロジェクト様

明石市太寺4丁目9-17
松本 誠
E-mail:matsumoto-mk@nifty.com
(市内在住)

最終更新時間:2011年09月09日 08時01分36秒