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明石駅前南地区再開発についての意見書 その2


明石駅前南地区再開発事業についての意見書 その2

 25日に開催された「明石駅前再開発事業市民フォーラム」ご苦労さまでした。会場がほぼ満席になるほど市民の関心が高かったようで、慶賀の至りです。

 本件事業に関する「意見書の公募」に対しては、先に意見書を提出し、フォーラム当日にも意見を述べさせていただきましたが、フォーラムを聴いてさらに幾つかの点について是非申しあげておかねばならないことがありますので、再度「意見書2」を提出します。

1.フォーラムの展開について

(1) 事前に用意された意見発表は真っ二つ ─ 現計画推進主張は地元商業者のみ

 泉市長の極めて簡単な挨拶、フォーラムの進め方についての説明、事業概要の説明のあと、事前に意見書を出していた12名(いずれも男性)が持ち時間3分で意見を述べました。
 特徴的なのは、魚の棚、本町、大明石町の商業者6名が「計画決定まで進んできた現行計画を、今の段階でこのように賛否を問うやり方は理解できない。計画通り早急に進めてほしい」と現行通りの事業促進を求めたのに対して、その他の6名(二見、太寺、大久保、魚住、大久保、もう一人は住所不詳)は論点の違いはあるものの、一様に現行計画の大幅見直しや大規模再開発計画をいま行うのは妥当ではない」という意見を述べたことです。
 計画推進を主張した商業者たちは、明石駅前以外の市民からは西へ行くほど反対論が強くなることを指摘し、これまで(自分たちの意見を反映して)積み上げてきた計画をいま進めなければ、明石駅前では再開発ができなくなるという不安を訴えました。しかし、現行計画を進めれば、どのように活性化を図れるのか、どのように商業振興が進むのか、まちが良くなるのかについて具体的に述べた意見は皆無でした。
 また、泉市長が選挙中に「中心市街地の活性化に大胆に取り組む」と言ったことをテコに、ひたすら現行計画通り早く事業を進めることを強調するのに終始しました。泉市長は中心市街地全体の活性化に積極的に取り組む主張をしていたようには記憶していますが、同時に「駅前再開発事業は財政的にも将来大きな影響があり、市民の中にもいろんな意見があるので、市民の意見を十分聴いて現行計画を見直していきたい」とも主張されていました。商業者のこのような主張は、自らに都合のいいこと(側面)だけを取り上げて事実を捻じ曲げるもので、あの場で議論が行われていたらあのような意見は間違っていることが明白になっていたでしょう。
 この日、再開発計画に批判的な意見を述べた人たちも、中心市街地の活性化に反対している人はいなく、現行の再開発計画に批判的な意見を述べていたに過ぎません。

 現行計画に批判的な意見を述べた人たちは、概ね次のような論点を挙げて計画の大幅な見直しを主張していました。

    1. アスピアの反省も総括もなく、ハコもの再開発をすればまちが良くなるというのは幻想であり、間違いなく失敗する
    2. 巨額の税金をつぎ込んで、市の財政破たんを招きかねない
    3. 市役所機能を駅前に持ってくる計画は不要。現行市民センターの充実や窓口業務はコンビニでも行えるようにした方が市民にとっては便利
    4. 住宅200戸の売却以外はすべて税金で賄う事業は、再開発とはいえない。再開発事業をやるなら民間活力を活かした計画にすべきだ。
    5. 明石駅前の整備は、明石の特色を活かしたまちづくりをめざすべきだ
    6. 計画はこれまで市民への周知が不十分で、その問題点が理解されていない。

 欠席してコーディネーターから代読された2名の意見は、「ユニバーサル社会にふさわしいワンストップサービス機能をつくるべきだ」という意見と、「ビルには太陽光発電をつけたり、明石らしい壁面デザインを施すほか、街への集客は再開発ビルだけでなくまち全体の総合力を活かすように計画すべきだ」という意見でした。

(2) 会場からの当日発言は現行計画への批判一色

  会場からの当日発言には男性ばかり7名が立ったが、全員が現行計画に批判的な意見を述べ、計画の見直しを求めました。
  中には、この日のフォーラムを前に校区の役員会を開いて30数人で議論をしてきたという男性もあり「フォーラムに来るまでは賛否いずれもはっきりしていなかったが、話を聴いて、こんな形で再開発が進んでもいいのか?と反対意見になった。駅前の地元の人たちは、よく練り上げられた計画と言うが、市民の多くは計画の内容を知っていない。これから活動を始める」と言い切りました。
  また、藤江の男性は「(商業者は)再開発計画は既定の事実というが、大蔵海岸の埋め立ての時もそうだったが今回も多くの市民は具体的に知らされていない。そのような進め方をしてきた大蔵海岸やアスピアがいまどうなっているかの反省が見られない」と財政へのしわ寄せや、商業活性化のやり方が根本的におかしいと主張していました。二見の男性も「フォーラムに来て初めて中身が分かり、時代錯誤の夢物語であることも分かった。中心市街地全体を考えて、既存のものをまず使うことを優先した計画にすべきだ」と指摘していました。
  相生町の男性も「保留床の処分先は住宅と市役所だけという苦労の少ない再開発計画になっている。事業後のランニングコストも明示されていない。税金に頼った計画ではなく、やるなら徹底した民活を考えるべきだ」と事業計画の危うさを指摘していました。

(3) 市当局と市長の発言や態度について

 21名の意見を聴いて、泉市長は市民発言の途中と最後に何回か発言したが、いずれも自身の再開発に対する考え方には一切触れず、「皆さんの意見を重く受け止めさせていただく」と言うにとどまりました。また「計画推進を述べたのは6名の地元の商業者だったが、地域間対立にせず、地域を超えての議論をしてほしい」と述べました。
 市長の発言以外には、冒頭に担当課長が映像を使って計画の概要を説明しただけで、市民からの意見に対して市側からは一切応答はありませんでした。

 そもそも「フォーラム」という限りは、テーマや課題について意見を交わし、議論することが重要であり、そのために開かれたものだと思いました。すでに計画決定し、事業着手直前の段階まで進めている市が、白紙で市民の意見を聴いたわけではないはずだから、計画に対する批判意見については逐一答えなければ議論にはなりません。
 明石市の第5次長期総合計画審議会の会長をしていた兵庫県立大学の加藤恵正教授が「コーディネーター」としてこのフォーラムの進行役を務めていましたが、全くの「タイムキーパー」の役割しか果たさず、論点の整理らしいことも全く行われませんでした。コーディネーターは、テーマについての論点を整理し、意見が異なる問題について合意形成を図るための議論をコーディネートするのが役割のはずです。単なる進行役、タイムキーパーなら、経費を使って忙しい大学教授に依頼しなくても、職員でも十分務まる役割です。その役割は全く果たされず、2時間弱のフォーラムは「言いっぱなし」「聴きっぱなし」の会議に終わってしまいました。残念なことです。

 市長が最後に発言したように「8/1までの意見募集と本日の意見を詳細に検討し、あらためてより詳細な内容を示していきたい」ということを前向きにとらえると、この日はとりあえず市民の意見を披露するだけで、かみ合わせた議論はあらためてその場を設定するという長期戦の覚悟であるなら、今後はこの日の意見を分かりやすく整理し、対立する意見をかみ合わせる議論の場を設定するとともに、市に対する疑問点や資料の開示意見に対して真摯に回答、説明する場を設定するべきでしょう。
 そうでなければ、この日のフォーラムは空回りし、単なる“ガス抜き”の機会にしてしまうと、参加した市民の怒りを誘うことになるでしょう。



2.今後の議論のために必要な資料や経緯の開示

 今後の計画見直し作業を進めていくためには、この日に市民から出された数々の質問や疑問点、計画の詳細等について、市は詳細な資料をまとめて公表するとともに、市民の疑問に答え、周知していくことが大切です。
 具体的には、次のような資料やデータ、経緯、計画の中身についての開示がとりあえず必要です。

 中心市街地の活性化計画には40数項目の事業計画が挙げられています。しかし、具体性のあるのは駅前再開発事業だけで、砂利揚げ場問題を含む明石港一帯の整備や国道以南の商業街区の活性化計画については具体性のあるものが何ら見えません。計画があるのか、ないのか。あるなら、それを明示するべきですし、ないのなら再開発事業を進めるための“当て馬”にすぎないということになります。明石市ではそんなに古くない、大蔵海岸の埋め立て事業を進める際にも市民からの批判に応えて明石港一帯の整備計画を急きょつくりましたが、結局、計画は雲散霧消し、大蔵海岸事業を進めるための単なる“見せかけ”でしかなかったことが、ほんの15,6年前にもありました。

 現行再開発計画を行えば、明石駅前全体の商業活性化にどのように寄与するのか―について具体的に明示するべきです。全国どこにでもあるようなコンクリートビルとオープンスペースが、どのように明石らしい駅前整備につながるのか―についても具体的に明示するべきです。このような再開発計画は、専門家から見ても20年以上前の発想と計画に過ぎず、今日の時代環境ではアスピアに次ぐ失敗になるという指摘に、どう答えるのか? 真正面から向き合うべきです。

 そのアスピアは、今年から巨額の借入金の元金償還が始まり、財務的に厳しい事態に直面すると言われています。利息償還だけだったこれまでも、営業ベースでは負担しきれず、市から補助金等で支えたほか巨額の公的資金が投入されている資本金を食いつぶしてきました。明石市で初めての再開発事業で計画から30年を経て完成し、今回の計画と同様にほとんどが税金に依存した事業でした。アスピアの財務実態のすべてを市民に開示し、どのように対応していくのかについても明らかにすべきです。破綻すれば、その負担はいずれ市民にかぶさってきます。

 市議会でも取り上げられてきましたが、十分解明されていないのが市役所機能の再開発ビルへの移転です。明石市は昨年秋から市役所のサービス機能を検討する懇話会を開催し、わずか3回の会合で提言書をまとめています。しかし、再開発計画はたしか、4年ほど前から中心市街地活性化プロジェクトの中心課題として取り組まれ、昨年秋には国に計画の承認を得ています。その中では、再開発ビルの“核テナント”は市役所になっています。時間的経緯から見ても、明らかに再開発事業を成り立たせるために「市役所フロアー9000平方メートル」の計画が先行しています。
 この再開発事業は実質的に市がリードして進めている明らかな“公共事業”ですが、建前上は地権者による再開発組合が施行する民間事業とされています。だとしたら、民間事業の中に市役所を持っていくことを、いつ、どこで、だれが決定したのでしょうか? 市役所の機能の大幅な変更や建て替えは、巨額の税金を動かすことになり、行政サービス機能の大幅な変更は市民にとって重大な事項です。
 再開発事業ありきで進められてきた今回の市役所機能の改編や建て替え計画自体に疑義がたくさんあります。このような経緯と実態について、市は明らかにすべきです。

 駅前地区の整備について、市は現行計画以外にどのような計画を比較検討してきたのでしょうか?
 明石駅前地区の整備についてはこの数十年間、地元の商業有力者等が何回も試みてきたが、明石市は山電高架や駅前広場事業には巨額の税金を投入してきたものの、駅前地区の整備については消極的な対応を繰り返してきました。2005年にダイエーが閉店してからも打つ手を持たなかったが、ダイエー東館のビル所有者がマンション用地として売却したあたりから地区全体の再開発に乗り出しました。戦後手をつけてこなかった駅前地区の整備に取り組むことは大事だが、現行計画にまとめるまでにどのようなプロセスを経てきたかが問題です。
 フォーラムでは、発言した商業者以外の市民のほとんどは計画の中身が今回初めて知らされたと言っています。計画を決定するまでに、市民にどのように提示し、意見を聴いてきたのか? また、駅前整備についてはさまざまなやり方や計画があるはずですが、市は現行計画以外にどのような案を比較検討してきたのか―を開示することが重要です。コンクリートの大きなビルを建てる以外に、明石らしい駅前整備案が検討されたのかどうか? デベロッパーに依存したハコもの計画が独り歩きしたのではないかという疑問に真摯に答えるべきです。

 フォーラムの中では、現行計画の早期推進を唱えた駅前商業者は「明石駅前の活性化には計画の早期推進が不可欠」と主張していましたが、この計画が完成すれば、国道以南の中心市街地商店街がどのように息を吹き返すのか、活性化するのかという展望を、具体的にどのように描いているのかを明らかにすべきです。その際には、アスピアの完成で、明石の中心市街地がどのように活性化したのか、国道以南の商店街にどのように寄与し、息を吹き返したのかを10年間の流れを踏まえて明らかにする必要があります。巨額の税金を投入しただけの効果があったのかどうか? 他の使い道を考えていたらどうなっていたかの真摯な反省も必要です。

 この事業を進めることによって、明石市の財政に今後どのような影響を与えるのかについても、具体的な財務実態と見通しのもとに明らかにする必要があります。計画には初期のイニシャルコストしか明示されていませんが、市役所丸抱えの再開発ビルのランニングコストが市の財政にどのような影響を与えるのかについても明らかにされるべきでしょう。

以上

2011年7月31日
明石市中心市街地活性化プロジェクト様

明石市太寺4丁目9-17
松本 誠
E-mail:matsumoto-mk@nifty.com
(市内在住)

最終更新時間:2011年09月07日 08時15分23秒